レビューで最も重要なのは「やりたいこと」の把握
設計書レビューという仕事は、意外と難しい。
なぜなら、レビュアーに渡されるのは基本的に「設計書だけ」だからだ。
しかし本来、設計書というのは突然生まれるものではない。
その手前には、
- 何を実現したいのか
- なぜそれが必要なのか
- どんな課題を解決したいのか
- どんな制約があるのか
といった背景や目的が存在している。
そして、それらを踏まえて検討した結果として、最終的に設計書という形に落とし込まれる。
つまり設計書は、“やりたいこと”の結果であって、本質そのものではない。
にもかかわらず、レビューではその背景情報が共有されないまま、「この設計で問題ないか」を判断しなければならない場面が多い。
ここを理解しないままレビューをすると、レビューは簡単に形骸化する。
例えば、ある設定変更があったとする。
通信元・通信先は限定されている。
使用するポートも必要最低限。
暗号化もされている。
形式的な観点だけ見れば、問題はないように見えるかもしれない。
しかし、本当に重要なのは、「そもそもその通信は必要なのか」という視点だ。
不要な通信であれば、最も安全なのは“通信させないこと”である。
つまりレビューで見るべきなのは、設定値そのものだけではない。
その設定が、「何を実現するためのものなのか」という目的まで含めて妥当かどうかである。
ここを見落とすと、
「条件は満たしているからOK」
という、非常に危ういレビューになってしまう。
レビュー基準を満たしていることと、その設計が本当に妥当であることは、必ずしも一致しない。
特に「必要最低限」という言葉は誤解されやすい。
IPアドレスやポート番号が絞られている、といった“形式的な最低限”だけを意味してしまうことがある。
しかし本来は、
「業務上、本当に必要なものだけになっているか」
という“意味的な最低限”まで含めて考えるべきだと思う。
レビューは単なる設定チェックではない。
その設計が、何を実現したくて、なぜ必要なのか。
そこを理解して初めて、レビューのスタートラインに立てるのだと思う。
